オーストラリアの運転免許と警察(2)
Sidの10行海外紀行 Vol.4, NO. 002

 今回は私の娘が始めてオーストラリアで運転免許を取得し、日本帰国後簡単にオーストラリア免許証を日本の 免許証に変更できた例を記述する。
 私が赴任する時、娘は丁度高校3年生で大学受験の最中であった。従って、最初の1年は単身赴任を余儀なくし た。幸い受験も無事終わり、大学に入学準備をしていた3月頃1年間の約束で英語の勉強と異文化経験をさせるた め入学前に休学手続き?を取りオーストラリアに呼び寄せた。
 4月からはTAFE(国立の高等職業訓練所のようなもの)の外国人向け英語コースに入学させた。当初は慣れ ないせいもあり、嫌がっていたが1ヶ月程度で慣れ始めた。その頃からここで運転免許を取ることを勧め、例の学 科試験を受けさせた。合格すると仮免許とLマークを貰い、運転免許を持っている者に指導を受けながら路上運 転練習を始めることが出来た。娘の場合、私が運転指導員となり、私の車で運転練習を始めた。練習の初日はハ ンドル、ブレーキ、ギヤーチェンジ、ウインカー等の操作を教えた後、いよいよ娘が始めて運転するとなるとお 互いに緊張した。私は助手席でサイドブレーキを握り締め発進し、10m程度車を走らせ、停止できた時には 両者共ほっとした気持ちを今でも生々しく覚えている。私が住んでいたモスマン近郊は空いている道路が沢山あり、 練習道路を簡単に見出せた。最初はタロンガ・ズーのそばでよく練習をした。海に近く空いているのと、道幅が広 く見通しがよく、更にランドアバウト、坂道もあり練習コースとしてはもってこいの場所であった。私は教えるの にこれと言うガイドブック類を読まずに、経験に基づく自己流で娘を仕込んだ。
 3ヶ月頃から大分運転にも慣れ、私も助手席でのんびり出来るように成ってきた。Lマーク者はLマークを車の見 やすいところにつけ、6ヶ月以上の路上練習を経てから実地試験を受けることが出来る。6ヶ月間で何時間以上路 上運転する必要が有るかと言うと、明確な規定はない。単に6ヶ月以上経たないと実地試験を受けられない仕組みになっている。
 4ヶ月目頃、例により二人で運転練習のためにタロンガ・ズーに向け家のガレージを出た。モスマン近郊はビューテイ ・ポイント、バルモラル・ビーチ等綺麗な海岸が沢山ありしかも大きな駐車場が完備し、ジョギング、水泳、釣り、 海岸でいすに座り本を読みのんびりする人々が多く居る。今日はバルモラルを通ってタロンガ・ズーに行こうと娘 に言い、バルモラルに行く大通りを左折しようと信号を待っていた。生憎休日の10時頃でバルモラルに向かう道は 酷く混んでいて、しかもバルモラルに通じる道は最右側の車線だけが行けた。左側の2車線は十分に入れたが、左車線に 入ってしまうと右車線には強引に割り込まないと入れない状態であった。娘は信号が青になるや当然のように左折し 最短距離で混んでいるバルモラル方面の右車線の最後尾に車をつけた。           

         次頁へ